要介護でも諦めない!
心躍る旅行の楽しみ
高齢になるにつれ体が衰えることで、移動が心配だったり、荷物を持って歩くのが不安で旅行を諦めてしまうケースが多くある。
どんな方でも旅行は楽しく、いつまでも行きたいというのが本音ではないだろうか。
そんな旅の不安を抱える高齢者とその家族をサポートして、旅行プランの企画から同行までを行う介護旅行が今注目されている。
埼玉県に本社がある「あんしんトラベル」は介護旅行サービスを行う旅行会社。
旅行プランの提案や交通・宿泊先手配のほか、旅行中は出発から帰宅まで付き添い、旅行中のトイレ、入浴、着替え、食事介助などのサポートをしている。
運営しているのは、作業療法士の横田 健治さん。病院や在宅介護の現場で働いた経験から、外出や旅行を諦めている方がとても多いと感じあんしんトラベルを立ち上げた。
横田さんは、これまでたくさんの介護旅行をサポートした経験を持つ。通常の観光が半分、もう半分は冠婚葬祭やお墓参り、同窓会の参加、旧友に会いに行くといった旅行だ。
介助する要介護者は、普段から車いすで生活を送っている方はもちろん、要介護5のほぼ寝たきりでおむつやトイレ介助が必要な方でも、状態が安定している方であれば対応可能。
横田さんは、
「お医者さんから止められてなければ大丈夫です。ご家族の協力があればご旅行は出来ると思います。」
と話す。
<取材協力 / 株式会社あんしんトラベル 代表取締役 横田 健治さん>
介護旅行をした方の実例エピソード
「介護旅行を希望されている方でクルーズ旅行で遠くに行きたいという夢を叶えたいと相談がありましたが、いきなりクルーズは難しいということで、段階を重ねる事にしました。
始めはまず、タクシーで近場を2,3時間出かけて帰るということを繰り返して自信をつけたんですね。
その後、別荘に一泊二日で行ったりして少しずつ移動の幅を広げていくことが出来ました。
今も、最終目標のクルーズ旅を目指して挑戦中です。」
と話す横田さん。
また別の実例では、余命残り少ない方が人生の最後に、むかし故郷でお世話になった方にお礼を言いたいと、介護旅行で数十年振りに帰郷し、恩人との再会を果たしたケースもあった。
「もう涙、涙でしたね。同行していた私も非常に感動させて頂きました」
と横田さん。
利用された方からは、今まで胸に抱いていた夢をやっと実現できたという喜びの声がたくさん届いている。
医療資格者付き添う安心と旅行サポートノウハウ
あんしんトラベルのスタッフは全員医療資格があり、看護師、作業療法士、介護福祉士が付き添う。
医療専門家が介護旅行やその準備のサポートを行うことで、通常では意外と気づかないリスクを事前に発見する事が出来る。
また状態によっては、胃ろうなどの医学的管理が必要な場合でも対応ができる。
介護旅行は同行するだけではなく旅行プランの準備段階からサポートを行っており、最適な宿泊施設の選び方や車イスでの新幹線予約方法など、様々なノウハウがある。
例えば、以下のような内容
◯宿泊施設選びのポイント
施設内・・・段差の有無やスロープの設置があるか
車いす用トイレやエレベーターがあるか
車イスでエントランスや廊下が通れるか
ドア・・・車イスに適している開き戸タイプか
寝床・・・布団ではなくベッドか、ベッドとベッドのすき間に車いすが通れるか
布団のみの場合は、簡易ベッドのレンタルがあるか
洗面所・トイレ・・・車いすのまま入って利用できるか
片麻痺の場合、手すりが左右どちらにあるか
風呂・・・手すりやシャワー用の椅子、滑り止めのマットのレンタルがあるか
湯船の深さがどれくらいか
食事・・・細かく刻んでもらえたり、ミキサーで提供ができるか
◯車イスで新幹線に乗る場合の予約方法
座席の選択・・・座席のタイプは2種類
個室(多目的室):座席が簡易ベッドになり、2名まで入れる
オープン座席(一般座席):通常座席と同じ並びの車いす専用スペースがある座席
予約時に伝えること・・・乗車する日時と区間
車いす用の座席タイプ(個室・並列)
大人・子ども区分(車イスで乗車する方)と付添いの人数
車イスが電動か手動どちらか
切符の受け取り日と連絡先 など
申し込み方法・・・通常の自動券売機やネットで購入できず、みどりの窓口に行くか駅に直接電話して購入する。
ただし、窓口はかなり待つこともあるため、乗車駅にある専用受付電話で相談するのがベスト。
予約は、乗車1か月前、午前10時から2日前まで出来る。
≪主要駅の連絡先≫
東京駅 03-3285-0319
品川駅 03-3471-2711
新横浜駅 045-471-8219
名古屋駅 052-581-2077
新大阪駅 06-6306-2857
博多駅 092-472-8424
行こうとする気持ちを支えたい!楽しみサポーター
介護旅行を通して家族の愛を再確認して絆がより深まったり、一度行く事が出来れば次また行きたいと意欲が出て、リハビリの効果が上がる方もいる。
高齢や車イスになっても、“バリアフリーに関する情報”と“ほんの少しのサポート”があれば、多くの方はまた旅行ができる。
横田さんは、“旅行に行きたい”という気持ちや楽しみを大切に、その夢が実現できるようにサポートしていきたいと話す。
「出かけるとなると、たとえ近くでも不安なことがいっぱいあると思います。
利用者のほとんどが旅行にはもう行けないと思っていた方なので、一度利用されると“まだ自分は外に行ける”と自信になるんです。
自分ひとりで無理に外出しなくても、サポートあれば外に出られるという事が分かって頂ければと思います。
皆さん踏み出すまでの最初のハードルが高いと思ってますが、我々から見れば大体の方はまだ外に行けると思うんですね。
不安に思っていらっしゃる方も多いと思いますが、私達はそれら不安をひとつひとつ解消していき、安心して旅行できるようサポートさせていただきたいと思っています。
気軽に行きましょうという感じですね。」
高齢や車イスになってからも続く人生。
旅行が楽しめれば、世界が変わることもある。
介護をしている方が同行すれば、リフレッシュにもなりえる旅行。
もっと高齢者の旅行が普通になって家族旅行が増えるためにも、介護旅行が社会に広まることを期待したい。
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取材日:2015年3月5日
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