福祉用具をデザインで選ぶ!部屋にマッチする最新ポータブルトイレrooma


かっこよくありたい

高齢者向けポータブルトイレ『rooma』


福祉用具は様々な商品が販売されており、今まではあまり重視されなかったデザイン性という点においても、個性あふれるものも増えつつある。そんな中、GOOD DESIGN AWARD 2014を受賞した最新ポータブルトイレ「rooma」が発売された。


ポータブルトイレは、例えば一人でトイレまで行けない要介護の方のベッドサイドに夜間おいておくといった利用をされているが、部屋にポータブルトイレがあると、いかにも介護をされているという雰囲気がでてしまう。


そういったイメージを払拭し、いつまでもかっこよく、スマートにありたいという方に向けて開発された「rooma」は、“ルーム+マッチ”から名付けられた。


一見ポータブルトイレには見えずソファやイスと変わらないため、名前の由来通り、部屋にポータブルトイレがあるという違和感がなくマッチしている。


roomaのポイントは、大きく分けて3つ。①部屋にトイレがあるという違和感をなくす②部屋の臭いを軽減、 ③洗浄・消毒の手間を省くこと。

見た目に加えて機能面として、使用後ボタン一つで自動で密封処理を行い、外には匂いも全く漏れないため、気になる臭いもなくオムツと同じように処理して捨てるだけでいい設計になっている。


rooomaは、医療機関や介護施設向けに介護浴槽やリハビリテーション機器を販売している酒井医療株式会社が、在宅医療にも注力する足がかりとして開発販売を開始した。


開発に携わった、中野かつらさんに話を聞いた。

<取材協力 / 開発技術本部 第1開発部 中野 かつら さん>





デザイン重視だからこそ妥協できなかった機能性


福祉用具でデザイン性を重視するには、あくまで機能性はそのまま、あるいはそれ以上のものが求められる。デザインがよくても、福祉用具として使いものならなければ意味はない。


「rooma」は、介護浴槽やリハビリテーション機器の開発時に培ったノウハウを活かして作られた、最新ポータブルトイレ。


使用したら密封するための専用の袋が便座の下に押し出され、汚れた部分を巻き込みしっかり密封。同時に上から新しいキレイな袋が出てくる仕組みでいつも衛生的で、臭いがもれず洗浄・消毒が不要。

またどんな身長の方でも対応できるように、rooma自体の高さが変えられる。


それ以外にも、中野さんは開発時に苦労した点について、

「試作品を作って介護施設に試してもらったところ、いろいろな要望がありました。

その要望から、尿が染み込んでしまうと掃除できない部分があった便座の縁を改良や、立ち座りしやすい足元の角度の調整、ひじ掛けを取り外ししたときのパイプを入れる箇所の指巻き込み防止など、様々な改良を重ねました。

機能性も充実させていくと、どうしてもいろいろゴツゴツした形になりがちですが、デザイン性を重視するためにそうならないようにすっきりとした形にすることが難しかったです。」

と話す。





介護者の負担を減らしたい!

介護される方も楽しく生活できるように!


中野さんが医療や福祉に興味を持ったのは、看護師をしていた母親がきっかけ。


生活の中で医療や介護のことが比較的身近にあったことに加えて、母親を見ていて感じたのはケアをする側の身体的負担。これをどうにかしたいと思い、福祉用具の開発に携わった。

このroomaは、通常のポータブルトイレで介護者の身体的にも精神的にも負担となる“洗浄・消毒作業”が不要になることで、介護負担の軽減にも大きく役立つ。


「ポータブルトイレを使うことに引け目を感じてしまう方が多くいらっしゃいます。

介護する方への身体的負担を軽減するためにも、ポータブルトイレを利用していても引け目に感じないようにしたいと思っています。

介護が必要な状態になっても、部屋に入ったときにイキイキしているな、楽しく生活しているんだなと周りに思ってもらえるようにしてきたい。」

と中野さんは話す。





福祉用具選びにわくわく感を!

デザインでも勝負する時代に!


いかにも福祉用具というイメージで、見た目はそれほど力を入れていない商品も多い。


世の中にデザイン性を重視した福祉用具や介護用品が増えれば、選ぶときにもっとわくわく感がでるのではと中野さんは考えている。


デザインでも選ばれるようになれば、結果的に生産するコストが下げることにもつながり、販売する値段も下がる。中野さんは「開発者として今後は価格を下げることにも取り組んでいきたい」と話す。


介護保険適用されるためには、デザインにコストをかけて値段を上げるわけにはいかないという現実的な問題もあるが、一番は介護されるようになったとしても、かっこよくスマートに自分らしく生きていけること。


そう考えれば、今後はもっとデザイン性が重要視される時代になるのでは。






<関連動画>

介護・福祉用具にデザイン性を!ソファにしか見えない
最新ポータブルトイレ「rooma」


取材日:2015年6月20日

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