利用者さんの笑顔の為ならどこへでも!
笑顔を咲かせる介護士アーティスト
普段は介護士として千葉県柏市の高齢者施設に勤務している、さちちひろさん。
その傍ら、さちさんはアーティストとして福祉施設に赴いて慰問ライブ活動をボランティアで行っている。
利用者の方に人気な懐メロや歌謡曲を歌い、曲の合間にはトークで場を盛り上げる。
そんなさちさんの歌を聴いている方の中には、自然と手拍子していたり一緒に口ずさんだりする方も多い。
アーティスト活動を始めたきっかけは、介護士の仕事をしながらすでに仲間4人でボーカルユニットを結成して活動していたさちさんが、介護施設の利用者の方にも歌で楽しんでもらいたいとライブを行ったのが始まり。
今では色々な介護施設でライブを行っており、リピーターになっているところも少なくない。
さちさんが福祉の世界に興味を持ったのは、母親の耳に障がいがあり支えていたことから。
音が聞こえない母を支えるうちに、福祉に携わる仕事をしたいと思い、障害者施設に3年勤務し、現在は高齢者施設で勤務しているさちさんをインタビューした。
<取材協力 / 介護士アーティスト さち ちひろ さん>
活動の源は”お客様の喜ぶ顔が見たいから”
介護の仕事は夜勤があり体力的な負担も大きいが、さちさんはライブ活動を精力的に行っている。
そのパワーの源は、お客様に喜んでもらう事。
その為にどんな演出をしたら良いかを徹底的に考え、“楽しませる事”にこだわる。
「どう歌で昔を懐かしく思って頂けるか、どう体を動かしてくれるか・・・それも持って行き方なんですね。
もうトークの力ですよ。いきなり、「さあ体を動かしてくださいね」とかじゃなくて自然に体を動かしてもらえるような持って行き方を考えていますね。
“慰問ライブのボランティア活動”とは言っても、普通に歌って帰るようなものでないから、やっぱり悩んでどうしたら良いか、どんなお客さんなのかを前日まで考えています。」
と話す。
ライブ活動をする中で、歌の威力を感じることがとても多いと、さちさん。
「この活動をやっていると、お客様が日頃は見せない表情を見せてくれたりと、不思議な出来事が多くて、歌の力を感じる事があります。
ライブをする先々で職員の方から「こんな姿、今まで見たことない」とか「涙を流された」とか、とにかく評判が良かったんです。
やっぱりその声というのは歌い手としては嬉しいので、この活動は継続して続けようと思ってやっていますね。」
元気を届ける為に、慰問ライブで全国を回る事が目標だという。
介護士とアーティスト、どちらにも共通する
エンターテイメント精神
「介護士」と「アーティスト」には共通することがあるという。
「介護士も絶対、アーティスト性がないと人を楽しませることは出来ないじゃないですか。
朝の挨拶でも、ただ「おはようございます」の一言で、どう笑ってもらうかを考えます。
ひとつの会話をどう面白く聞かせて笑いを取るかとか・・・もう芸人ですよね。
自分の職場で働いている時は、歌手じゃなくて「芸人の介護士」なので、どう笑わそうかなあと日頃から思っています。」
介護ではコミュニケーションが大切。笑いがあれば会話も楽しくなり、距離もぐっと近くなる。
利用者さんを笑顔にすることは、メンタルケアになったり、認知症症状の改善にもいい刺激になるさちさんのエンターテイメント精神は、職場では“笑い”、ライブでは“歌”で利用者さんを笑顔にさせている。
さちさんが家庭介護に思うこと
さちさんは仕事としての「介護」と、家族の「介護」は全く違うという。
家庭介護について、
「僕は仕事だから(苛立ったりといったことは)何も思わず介護をしているんですけど、もし自分の肉親が介護状態になったら、多分すごく辛いと思うんですよね。
家族だから、すごく受け入れるのが大変なんですよ。
でも、怒ってしまうと精神的な疲労も大きくなるので「なぜ覚えてなの?」と思うより「忘れてしまうのは病気のせい」と考えた方がいいとは思います。
とはいえ、本当に家族の方は大変なことだと思います。」
と話す。
今まで出来た事が出来なくなってしまったり、認知症状が出始めたり家族の様々な戸惑いや葛藤がある。
そういった介護者へのメンタルケアがもっと充実させなければならない。
<関連動画>
高齢者さんの笑顔が見たい!施設で働く介護士アーティストの活動とその思い
取材日:2015年5月22日
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