男性が賑わう珍しいデイサービス
通常デイサービスに通う男女の割合は、ほとんどが女性で男性は2割ほどしかいないのが現状だ。
それはデイサービスのレクリエーションが、絵を描いたり折り紙をしたりといった男性向きではないというイメージが強かったからではないだろうか。
今ではいろんなコンセプトやレクリエーションがデイサービスで取り入れられ、男性の利用者も徐々に増えてきている。
東京都板橋区にある「デイサービス夢楽 志村坂下」は開設当初から“男のデイサービス”をコンセプトに掲げ、男性に好まれるレクリエーションや雰囲気作りをしている。
今ではほとんどの利用者が男性という状況で、通常2割しかいないというのが嘘のように感じるほど盛況だ。
それほど多くの男性が夢楽に通いたくなるその秘訣を、運営元の株式会社 我喜大笑 取締役 林 矢麿人さんと、施設長の嶋田くららさんに話を聞いた。
<取材協力 / 株式会社 我喜大笑 取締役 林 矢麿人さん・施設長 嶋田 くららさん>
男性が楽しめるレクリエーションの数々
夢楽のレクリエーションには、男性が好きな囲碁・将棋・麻雀からipadやパソコンといったIT機器も使うことができる。
iPadやパソコンは希望すれば、講座として教えてもらうこともできる。
利用者の方は、椅子に座った機能訓練の運動を行った後、好きなレクリエーションを選ぶ。
レクリエーション中は、話しながらわいわいするテーブルが多く見られ、特に麻雀は盛り上がっている。
みんなで遊びに集まったという印象だ。
男性同士盛り上がっていると、お酒も少し飲みたくなってくる。
夢楽ではアルコールは提供していないが、代わりにノンアルコールビールを提供している。
そういったところも男性には人気な理由のひとつだ。
男性利用者が定着するその秘訣とは!?
男性利用者の心を捉え定着する秘訣について、林取締役はこう語る。
「やはり利用者の皆様ご自身たちで作られるこの“環境”ですよね。男性ばかりいる環境というのは、一度通わなくなっても戻って来やすい。
男性にとって居心地が良いということが定着しやすく、ご寵愛頂いている理由だと思います。」
特に囲碁や将棋、麻雀は、友達作りにも役立つという。
「一緒に囲碁や将棋を打たれる中で友達になられるケースが多いんです。囲碁や麻雀はコミュニケーションツールになるんですよ。
知らない方でも「とりあえず一局打ってみませんか?」と始まって、一局打つ過程でいろいろお話されます。
この手が良かった、あの手は悪かったとか、そういう話をしていくうちに、いつの間にか仲良くなって、お友達が増えるという事が多いようです。特に一番元気なのは麻雀ですね、本当に盛り上がっています」
と林さん。
施設長の嶋田さんは、ここで知り合った利用者の方同士が、デイサービス以外で交流することもあるという。
「今まで家に閉じこもっていた方が、通うに連れて元気になって、デイサービスに来る回数も1回から2回、3回と増えていったり、夢楽に来て元気になる男性が多いです。
ゲームを通じて知り合って電話番号を交換して、互いの家に行き来をしたり、家に伺って将棋をしたりと交流の輪が広がっているようです」
と話す。
男性こそデイサービスを利用すべき!?
こうした男性に特化したデイサービスは、これまでなかったという。
東京都からは今までに前例がないということで驚かれたと、林さんは開設当初を振り返る。
「都内のデイを見学した時に、男性に向けたデイサービスの少なさと、利用者の男性がなかなか伸び伸びと生活されている所が少ないと感じました。
それがきっかけで男性に特化したデイを作ろうと決意し開設しました。やがて口コミで広がり今に至ります。
一番介護冥利に尽きるのは、利用者様のご家族様から、「前のデイだったら定着しなかったけど、ここに来てからは友達が出来て、やりたい事も見つかったみたい」というお話を聞いたり、ご本人様から「こっちのデイがいいよ」と言って頂ける事です。」
女性は地域やご近所のつながりがある方が多いが、男性は少なく定年退職後は行き場を失い家にこもりがちになるケースが多い。
しかし、こうした場所があれば男性も新たな友達ができ地域に根差した交流ができる。
特に介護が必要な独居高齢者が増える今、地域との連携を作っておく事は生活する上で大切なこと。
林さんは交流から生まれる介護予防効果について、
「コミュニケーションをとる事は脳への刺激になります。お友達と趣味の話題で盛り上がったり、やりたい事を見つけて熱中したりと、楽しく過ごすことが自然と認知症予防や介護予防に繋がるんです。
これからも利用者様に楽しく過ごして頂ける“行くのが待ちきれない”デイサービスを目指していきたいです。」
と話す。
男性高齢者は健康でもまだまだ家にこもりがちな方が多くいる。デイサービスだけでなく、これからは高齢の男性がいろんな仕事や活動できる場が必要だ。
そうすることで、若い世代にない知識や経験を高齢者から次の世代に繋げていくことができる。
若い世代と同じくらい、高齢者の力もこれからの日本にとって大きな支えとなることは間違いない。
高齢者が活躍できる場所を作っていく社会が、これから必要ではないだろうか。
<関連動画>
【東京都板橋区】驚異の男性9割以上!男のデイサービス夢楽
取材日:2014年8月29日
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